「有機クラフトスピリッツ」
みなさんは、この言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「クラフトスピリッツ」とは、最高品質の原材料と製法にこだわって少量生産された、“手づくり志向”のスピリッツ(蒸溜酒)を指します。つくり手の個性がストレートに表現された味わいを楽しむことができ、これまでにない全く新しい製法でできあがる、魅惑のお酒です。原酒にボタニカルを漬け込み、蒸溜して、その香味を抽出します。
それでは、頭に付いている“有機”とはなんでしょうか。
本来は、有機という単語を商品名につけるためには、有機JAS認証を取得しなければなりませんが、日本国内には、有機JAS認証が付与できる商品に酒類は含まれておらず、これに関するルールもありませんでした。ところが驚くべきことに、つい先日2021年12月に、農林水産省より、“有機酒類”を認証商品に追加検討するとの発表がありました。
“有機酒類”とすることができれば、価値が高まり、より多くの方々に手に取っていただく機会が増えます。少し形が良くないだけの最高品質の有機ドライフルーツ、ナッツたちを輝かせるべく、まるで背中を押してくれるような内容の発表に、明るい道が大きく広がっていくような思いでした。
私たちがお届けする有機クラフトスピリッツは、「原酒」、漬け込む「ボタニカル」に特徴があります。
いずれも、私たちだからこそできるとっておきの方法であり、これらが、スピリッツの“核”となるのです。
1.原酒(ベーススピリッツ)
原酒の原材料は、有機ドライフルーツ、有機ナッツと、有機黒糖のみ。もちろんここには、形が良くないだけの最高品質の有機ドライフルーツや有機ナッツも含まれます。
そのまま食べても十分美味しいドライフルーツ等と、上質な甘みのある黒糖を使用し、それぞれの原材料がもつワイルド酵母を呼び起こします。漬け込んで数日のうちにぷくぷくと反応が起こり、やがてぷちぷち、しゅわしゅわと発酵が進んでいきます。オーガニックだからこそ酵母がたくましく元気に育ち、特製の原酒ができあがります。
2.製造方法と、直火式単式蒸溜器
手作りした原酒は醸造工程を経たのち、蒸溜、樽熟成へ進み、その後、原酒にボタニカルを浸漬し、蒸溜をおこない、商品が完成します。約2週間の醸造と蒸溜を終えた原酒は穏やかな味わいへ変化を遂げ、漬け込むボタニカルを包み込むように、それそのものの味を引き立てます。
・熟成:一定期間ボタニカルを浸漬して蒸溜し、味が落ち着くまでじっくりと熟成させます。熟成につかう樽は、お酒の味わいを決める重要なアイテムのひとつであるため、スピリッツの本場・ヨーロッパのイギリスやスペインから専用の樽を仕入れ、どこまでも本格的なスピリッツをつくり上げることとしました。
なお、樽熟成は、表現したいボタニカルの味わいを考えておこなわない場合もあり、本来の素材の味を楽しめるよう、あえて樽熟成はおこなわずに仕上げるタイプもあります。
・蒸溜:直火式単式蒸溜機を使用しています。この蒸溜機をつかうお酒造りは、一般的にはもっとも手間のかかる方法と言われていますが、直火ならではの力強い味が引き出せるという大きな特徴があることから、ボタニカルの個性をよりストレートに表現するために、この方法を導入することにしました。
このように、原酒を醸造、蒸溜、熟成させる方法は、日本酒、ウイスキー、ブランデー、ジンの要素をすべて取り入れた、独自の方法とも言えるでしょう。
原酒醸造→原酒蒸溜→ボタニカル浸漬→蒸溜という工程を経てできあがるこのクラフトスピリッツは、雑味が無く、クリアで澄んだ味わいに仕上がります。
おそらく、ここまで趣向を凝らしたクラフトスピリッツは、未だかつて日本に無いといっても過言ではありません。