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2014年2月21日
紅茶の生産地スリランカ(2) ~自然環境に寄り添う堆肥づくり
グリーンフィールド社(スリランカ)
朝霧が立ち込める中、見せていただいた堆肥場の入り口にこの看板を見つけた時、書いてある文言と素朴な雰囲気にとても感動しました。ですので、まずは看板をご紹介。
有機堆肥プロジェクト、と書かれた看板の下に「 私たちは自然と共存しています。未来のために自然環境を守り環境を大切にします。」というようなことが書かれています。岩に緑のペンキで手書きされているところがとても好感が持てます。
ところで、オーガニック茶園の栽培管理方法は、ノヴァがこうして生産地を訪問するときに必ず見せていただきます。オーガニック認証を受けて毎年監査をクリアしているので安心ですが、やはりこの目で確かめ生産者の話を聞くことを大切にしています。
この茶園ではどんな取り組みをしているのでしょう。
その一つが、コンポスト(堆肥)づくりです。有機堆肥の作り方は、基本は共通していますが、やはりその土地、生産物によってやり方や使っている原料はさまざま。これを見るのは勉強になるし楽しいものです。
ここがコンポストを作っている場所。草が積んでありますね。
近づいてみると。。。
堆肥がいくつもの山に分けられているのは、日をずらして段階的にコンポストを熟成させているから。積んだのが何月何日、切り返し (TURN)が何日、というふうに、山ごとに刺した黄色いプレートに表示されています。それぞれの山の「こなれ具合」が異なっているのがわかります。手前が新しく作った山。奥に行くに従ってもっと発酵が進んでいます。
ちょうど、みなさんコンポストの切り返しの作業中でした。堆肥の山の内層を表面に出すように掘り起こすことで、全体に酸素を抱き込ませて発酵を促進させるのです。また、こうすると堆肥の温度が上がるので、その熱によって発酵菌以外の雑菌が死滅し、安全な完熟堆肥を作ることができます。
私たちが訪れると、作業の手を休め笑顔で挨拶してくれました。ここに使われている植物残渣は、この土地から出たものを使っているそうです。お茶を剪定したものも入っているのでしょうね。使われている牛糞は、以前、フェアトレードの奨励金で購入し生産者に提供された牛の糞だと話してくださいました。
その土地の環境から出たものを外部に運んで廃棄して環境を汚すのではなく、うまく循環させて自然に戻す。オーガニックの基本理念でもあります。
掘り返した土を見てみると・・・ミミズがたくさん!(この写真ではわからないですね。)
ご存知の通り、ミミズは土中の有機物を食べて糞を出すことによって、栄養たっぷりの土に変えてくれる名人なのです。ここで完熟した堆肥は茶園の土に施されます。循環型の農業が実践されているんですね。堆肥プロジェクト責任者の男性が、堆肥を手で触りながら説明してくださいました。堆肥作りの記録もきちんとノートに整理されて堆肥場にある小屋に保管されていました。ノートを見れば堆肥の原料や採取した場所もさかのぼって確認することができます。
ここが堆肥プロジェクトのオフィス。簡単な小屋ですが、手作り感いっぱいですね。楽しみながら仕事をされているんでしょうね。そういえば、ノヴァがおつきあいしている生産者さんは、皆こういったゆとりというか、ユーモアがある気がします。真剣に取り組みながらもゆとりを忘れないというのは大切ですね。
それ以外にも、タンクに液肥が作られているのを見せていただきました。材料は細かくは忘れましたが、植物残渣などの有機物を発酵させて作ります。主に追肥として使われるものです。
今の工場長さんがとても熱意のある方で、より環境や人にやさしい方法、美味しい紅茶を作る方法を追及して、このようにいろいろな取り組みにチャレンジし続けているのだそうです。
まさに、看板に偽りなし、です。